引越奇譚

2005年4月14日
3月の下旬に会社の事務所が移転した。

十数年いた事務所が、いつのまにか社員増で手狭になったため、古くからいる人間がトコロテン式に押し出されたのだ。

十数年もいたので、人によっては、荷物や書類(ごみ?)が結構たまっていて、引越も手間がかかった。

そんな中で、Aさんの机の廻りはゴミ(書類?)のヤマで、席はコックピットのようになっていた。

噂によると、その書類の一番下は、10年前に行方不明になった社員が化石になっているとか、ミイラになって隠されているとか。

まあ、いずれにしても、想像を絶するゴミの量で、Aさんは連日深夜まで、引越の片づけに追われていた。

他の人たちはとうに荷物も片づき、いよいよ明日が引越という最後の夜。
・・・・やはりAさんは片づけていた。

「はたして間に合うのか?」とまわりの社員が気にしても、「必ず間に合わせてみせる」とAさんは不敵に笑うのだった。

ほかの社員の手伝いの申し出も断って、Aさんは一人もくもくとゴミのヤマと格闘していた。

「絶対間に合わないなぁ」と準備の終わった社員は、Aさんをひとり残して、家路につくのだった・・・・

翌朝、引越当日のこと。

なんと!! Aさんの机の廻りは驚くほど綺麗に片づいていた。

しっかり掃除もされていて、机の下はピカピカに輝き、覗き込むと鏡のように顔を映し出すのだった。

絶対、引越には間に合わないだろうと賭けをしていた社員もただただ感心するばかり。

しかし、その日の引越にはAさんは現れず、その日を境に、ついぞ誰もAさんの姿を見ていない。

きょうの教訓
「慣れないことはしない」(っていうか、なんの教訓?)

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